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株式会社テレビ西日本 さま

他局に先駆けてリモコンサーバーをクラウド化し将来にわたって堅牢かつ柔軟な監視/制御環境を確立。
TNCが踏み出した「放送DX」への力強い一歩

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フジテレビ系列の九州基幹局として、福岡県下で多彩な放送事業を展開するテレビ西日本(以下TNC)。番組の自社制作はもちろんのこと、テレビとネットの融合にいち早く取り組むなど、前例のない試みに積極的に挑戦する姿勢が同局の大きな特徴だ。その顕著な事例が、2021年10月に運用を開始した「統合型クラウドリモコン」。遠方監視制御環境のクラウド化を九州で初めて実現した果敢なチャレンジは、放送界に大きなインパクトをもたらし、TNCが見据える「放送DX」の推進にも確かな道筋をつけている。

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放送事業に不可欠なリモコンサーバーをオンプレミス型からクラウド型に刷新

株式会社テレビ西日本 技術局次長 兼 放送技術部長 尾野上 敦 氏
株式会社テレビ西日本 技術局次長 兼 放送技術部長 尾野上 敦 氏

午前の情報番組「ももち浜ストア」から多彩なバラエティ番組、各種報道系番組まで、TNCが発信する番組は自社制作番組だけでも多岐にわたる。TNCでは、CMも含めた多様なコンテンツをタイムテーブルに沿って放送用の信号に変換し、本社に隣接する親局をはじめ県内60か所の送信所(中継局)を通じて視聴者に届けている。こうした番組を広い福岡県内のどこにいても1秒のズレもなく視聴できるのは、親局と中継局の機器や電波の状況を集中的にチェックする遠方監視制御装置(リモコン)があればこそ。TNCでは、リモコンの導入を1990年代から進め、デジタル放送が開局した2011年には全中継局への配備を終えて、オンプレのサーバーで運用していた。しかし2020年、リモコンサーバーのクラウド化という大胆な転換を決断する。その背景には、コスト削減や運用・保守の省力化といった一般的な狙いとは別に、TNCならではの挑戦マインドがあった。技術局次長の尾野上 敦氏が振り返る。「放送の技術はきわめて特殊で汎用化になじまない面があり、リモコンサーバーのクラウド化も全国どこの放送局も手がけていない状況でした。それなら自分たちが一番乗りを果たそうじゃないか、と考えたのです」

“3社コラボ”の成果は「QT PRO IaaS」を軸とする新基盤

株式会社テレビ西日本 技術局放送技術部 担当部長 德重 智寛 氏
株式会社テレビ西日本 技術局放送技術部 担当部長 德重 智寛 氏

もちろん、運用面・コスト面の改善が見込めることが大前
提だ。「オンプレミス型のサーバーは数年ごとに設備の更新が必要になり、膨大なコストを要します。導入時にシステムの拡張性が決まってしまうのも難点です。ネットとの融合など、テレビ局はいま大きな変革期にあり、放送現場にも状況の変化に即応できる柔軟性が求められます。こうした課題を踏まえ、拡張性に富み、運用面の負担も軽減できるクラウドへの移行を決めました」(尾野上氏)
数あるクラウドサービスの中でQTnetの「QT PRO IaaS」
を選んだ理由について、放送技術部の担当部長、德重智寛氏は次のように話す。「堅牢なセキュリティや拡張性の高さに加え、カスタマイズ性に富み、他のユーザーの影響を受けないことが絶対条件でした。その点、冗長性や堅牢性といった『QT PRO IaaS』の機能面の優位性に加えて、QTnetとは通信回線やインターネットまわりの案件でお付き合いが長く、当社とクラウドをVLANによる閉域網で結ぶなど、回線の手当ても含めてトータルにお任せできることも安心材料でした。安心といえば、福岡の企業どうし、長年の取引で気軽に相談できる“顔の見える関係”ができていたことも、QTnetにオファーを出す決め手になりました」こうして始まった全国初のリモコンサーバーのクラウド化という価値あるチャレンジのパートナーとして、TNCが選んだのはQTnetと、全国の放送局に納入実績を持つリモコンメーカー・松栄電子研究所の2社。「私たちが描いた青写真に沿って、QTnet が構築したクラウド基盤上に、松栄電子研究所がリモコンの各種アプリケーションを組んでいく。3社による緊密なコラボレーションが、本件の基本フォーメーションでした」(德重氏)

前例のないチャレンジにお手本はなく、クラウドへの切り替え時のダウンタイムを極力短くするなど、困難な課題も多かったが、「新たな取組みを九州から」を合言葉に集中力を高め、着手から1年余りを経た2021年10月、「統合型クラウドリモコン」がカットオーバー。「自社サーバー時代はハードウエアの更新計画に沿って自分たちで手順を組み、一つ一つ課題をクリアしていましたが、その労力から解放され、ずいぶん楽になりました」と、德重氏は現場目線でクラウド化のメリットを明かす。また尾野上氏は、「今後は、3 社で共同開発した統合型クラウドリモコンの技術を他局にも広げ、放送業界全体のDX 推進に貢献していきたいと考えています」と、力強く展望を語る。

主調整室のクラウド化をはじめ「放送DX」の新領域を構想中

TNCでは統合型クラウドリモコンの構築を皮切りに、多様な切り口から「放送DX」の推進を図っていく方針。「メタバースでの監視制御など、新たな技術課題も続々と生まれています。テレビとネットの融合も今以上に加速するでしょうし、リモートプロダクション、つまり遠隔による番組制作のトライアルも始まっています。こうした変化に対応するには、放送用の信号を最初に送り出すマスター(主調整室)のクラウド化が急務です。QTnetには、引き続き手厚いサポートを期待しています」と尾野上氏。3社コラボによる統合型クラウドリモコンの構築により、自社の挑戦の歴史に新たなページを刻み、放送界のDX推進に先鞭をつけたTNC。その“次の一手”に、業界内外の注目が集まっている。

松栄電子研究所リモコンサーバー クラウド化の特長

TNCで使用しているリモコンサーバーの画面
TNCで使用しているリモコンサーバーの画面

従来、お客さま自身の導入設備として運用するオンプレミスサーバー上で稼働する“監視制御システム”において、自社運営のASPサービスを提供してきた松栄電子研究所。次なるステージとして、クラウド環境に対応する新たなサービスの提供を開始しました。共同建設局の局別の監視制御やシステム拡張など、お客さまのニーズに合わせた柔軟な対応が可能です。クラウドサーバーの管理・保守を松栄電子研究所にお任せいただくことで、お客さまは日々の運用に専念することができます。

リモコンサーバーの特長

  • サーバーの管理・保守の手間は不要
  • 中継局からのデータはデータベースに保存
  •  ブラウザを利用したWeb画面で常時監視及び制御を実施
  •  異常発生時、Web画面の音声警報及びメール送信でお知らせ
  •  Web画面はマルチブラウザ対応
  • サーバーに蓄積されたデータはお客さまのPCへの保存及び報告書出力
  • 状変ログの時間や項目名による検索が可能
  • 中継局の追加や削除、監視・制御項目など項目の変更や追加が可能
  • 監視画面の配置はユーザーさまにより変更や追加が可能
  • 異なるメーカーの送信機のデータを集中監視し一括管理

統合型クラウドリモコンの必須基盤 「QT PRO IaaS」を選んだ理由

株式会社テレビ西日本 様

テレビ西日本(TNC)が選んだ「QT PRO IaaS」。堅牢なファシリティ上に設置された仮想基盤とTNC本社を閉域網で結び、親局・中継局間のネットワーク設計も含めたトータルサポートで、九州初となる統合型クラウドリモコンの構築に大きく寄与する。

拡張性に富んだ「QT PRO IaaS」で高信頼・安定運用の仮想基盤を確保

TNCは2020年、オンプレミス型リモコンサーバーの2回目の更新期を前に、放送界で前例がなかったサーバーのクラウド化を決断。堅牢なファシリティ上に設置された「QTPRO IaaS」を選ぶとともに、TNC 本社と仮想基盤を閉域網で結ぶ「QT PRO VLAN」を導入し、カスタマイズ性と拡張性に富んだクラウド環境を実現した。仮想サーバーのHA機能(自動フェイルオーバー)に加え、デフォルトでファイアウォールを備えるなど、セキュリティや冗長性の面での手厚い配慮も、導入を後押しするメリットとなった。

信頼に基づくパートナーシップがさらなる「放送DX」の推進力に

「QTnetには専任の担当者がいて、どんな相談にも迅速に対応してくれるので、安心感がありますね。リモコンサーバーのクラウド化は業界初の試みであり、それだけでもハードルが高いのに、リモコン稼働環境の作り込みも加わって、構築には1年以上を要しました。その間QTnetの担当の方とはずっと密に連絡を取り、エンジニアの方とも頻繁にオンラインミーティングを開いて、次々に直面する技術課題をその都度クリアすることができました。クラウド事業者の中には専任を置かず、カスタマイズ対応が手薄なところもあるそうで
すが、心配無用でした。運用開始後は“リモコンのレスポンスがとにかく速くなった”と、社内でも好評です」と德重氏は話す。一方、尾野上氏は「南海トラフ地震など、近い将来の甚大なアクシデントも懸念される中、九州にデータセンターを置くQTnetのクラウドはBCPの面からも信頼性が高い」と、別の側面からメリットを語る。統合型クラウドリモコンの構築で、放送DXの推進に弾みをつけたTNC。「今後もクラウド化の拡大を軸に、DXにつながる多様なチャレンジを重ねる方針です。QTnetにはクラウドはもちろん、ネットワーク設計なども含めたトータルなサポートをお願いしたいですね」と、期待を明かした。

サービス導入イメージ

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