福岡ひびき信用金庫 さま

福岡県北九州市に本店を置く、福岡ひびき信用金庫。響灘と周防灘に面した福岡、山口、大分エリアの暮らしと経済を長年にわたって支え、2024年1月に創立100周年を迎えた。早くから内製による先進ITインフラの構築・運用を積極的に進め、2024年にはBCP対策とデータ資産の2次バックアップを念頭に、クラウド型のオブジェクトストレージ「Wasabi Hot Cloud Storage」を導入。
管理運用負担を抑えつつ、要員リソースをより付加価値の高い業務に振り向ける好循環につなげている。

導入の背景

抜本的なBCP対策に寄与する2次バックアップ施策を模索

福岡ひびき信用金庫は、福岡、山口、大分の3県を事業エリアとする地域密着型の金融機関。創立100周年を迎えた2024年1月には、新たなブランドスローガン「このまちが、すべて。このまちに、すべて。」を掲げ、地域経済を支える不変の使命をあらためて内外に示した。

また同金庫では、幅広い金融サービスを支える事業基盤として、早くから積極的なIT投資を重ねている。ITインフラの構築・運用を内製化している点も特徴的だ。金融機関の生命線とも言うべきデータセキュリティに関しても、2021年12月にRubrikのバックアップアプライアンスを導入し、それまで個別にバックアップを取っていた仮想基盤やファイルサーバ、データベース等のデータ資産を一元管理する二重バックアップ体制を構築。
ランサムウェア対策にも十分な環境を確保している。それでもなお、一抹の不安材料が残った。それがBCP対策であった。

「当金庫ではRubrikも含めてすべてのデータをデータセンターで物理管理している関係上、万一の災害への備えが以前から重要な経営課題になっていました。2020年以降、年度事業計画書においても、オフサイトでの２次バックアップなど、BCP対策に資する新たなデータセキュリティ施策の必要性に再三言及しています」と話すのは、内製体制を一手に担うシステム部の吉田篤史部長。

「重要施策とはいえ、いわば“念のため”のリスク管理施策ですから、導入が容易で最小限のコストに抑えることが最重要課題。当初はAWSやAzureなどのメガクラウドも検討しましたが、費用面のハードルが高く…。そんな時、ある展示会で知ったのがWasabi。操作が容易でAWS S3互換、何より定額制でEgress費用の心配もないなど、コスト面の優位性が際立っていて、迷わず導入を決めました」（吉田氏）

導入を決めた理由

確かな信頼関係をベースに、Wasabi導入の実務をQTnetに一任

吉田氏は、2023年夏の展示会でWasabiへの関心を深めた直後、QTnetの担当者に連絡を取った。「他社への打診はまったく考えませんでした」と吉田氏は振り返る。
「QTnetさんには、QT PRO VLANの構築といったネットワーク関連の案件を皮切りに、データベース用ストレージ基盤『Pure Storage FlashArray』、クラウドセキュリティ基盤『Zscaler ZIA ZPA』の導入など、さまざまな場面で有意義な提案とサポートをいただいてきました」（吉田氏）。

導入に際しては、ホワイトリストの作成など、設定に注意を要する項目もあったが、エキスパートが揃う同金庫システム部には容易に対処できる範囲。QTnet側の作業もリスク評価程度で技術面の問題も特になく、Wasabiは2024年1月、最大容量50テラの5年契約で無事運用開始。稼働当初、使用容量が想定より大きく、増量契約を検討する場面もあったが、1次バックアップ側の項目を見直し、余剰なアーカイブデータを削除することで、見積もりを取るまでもなく解決している。この間、QTnetの担当者がWasabiのディストリビューターと緊密に連携を取り、即応体制を整えていたことは言うまでもない。
現在のデータセキュリティ環境では、バックアップ体制に不備があれば1次バックアップ側からアラームが入る仕様になっているが、稼働後は一度もそんな事態はなく、いたって順調に推移している。これはシステム部内の負担軽減効果も大きい。
「以前は多くのデータで磁気テープによるアーカイブを行っており、月次、週次、日次の管理に加え、電子帳票などのイメージデータの管理もあり、対応キャパの限界に近づいていました。しかし、こうした管理負担が、まずRubrikの導入で大きく減り、Wasabi導入によりさらに軽減されました」（吉田氏）

この効果を力強く後押ししたのが、通信帯域の拡張だ。「Wasabi導入とほぼ同時期に1次側と2次側を結ぶ回線の帯域を従来の1Gbpsから10Gbpsに拡張。実はWasabi導入と重なったのは偶然で、もともと当金庫全体のインターネット環境の高速化に向けて検討していた施策なのですが、結果的にバックアップやアーカイブの高速化にも直結しました。今回は10Gbpsの光回線を2回線。もちろんQTnetさんのお世話になりました」（吉田氏）

日常業務を高付加価値業務にシフト。Wasabiの導入効果でDXが加速する

データセキュリティのさらなる強化による安心感。加えて、バックアップ作業の負担軽減によってシステム部の人的リソースをより付加価値の高い業務にシフトできる点も、Wasabi導入の際立った効果として挙げられるだろう。
「システム部の最大のミッションは、金庫内外におけるDX推進です。内部的には、先進的なシステム開発や環境整備を通じて、営業職員がお客さまと向き合う時間を少しでも増やすこと。外部、つまりお客さまに向けては、信用金庫ならではのFace to Faceの強みを生かした魅力的なデジタルチャネルの開発がテーマです」（吉田氏）
システム部のメンバーが本来のミッションに沿った創造的な仕事に邁進できる環境整備に向けて、同金庫では今後も先進ITインフラの拡充に注力していく。

サービス概要

福岡ひびき信用金庫が選んだ「QTnet×Wasabi」による新たなデータプラットフォーム。操作性に優れ、AWS S3互換で価格優位性も高いWasabiの特長が、BCP対策強化を兼ねた2次バックアップ施策をできるだけ低コストでという同金庫の要望にAWS S3互換で価格優位性も高いWasabiの特長がフィット。操作性に優れた面も評価しているという。また確かな信頼関係を築いたQTnetの手厚いサポートも、導入を力強く後押しした。

Wasabi導入は「フルクラウド化」に向けた価値ある一歩

Wasabiの導入は、システム部が見据える「フルクラウド化」という中長期戦略に照らし合わせても、意義深い一歩となった。「すでに1次バックアップ体制を確立していることもあり、2次バックアップはクラウド移行が比較的容易な領域。事実、特段の問題もなくスムーズに稼働しています。将来的なフルクラウド化に向けても、今回の施策のインパクトは大きいと思います」（吉田氏）

DX推進室が発信する新施策が「次の100年」を明るく照らす

現在、Wasabiのバックアップ対象はデータセンターで管理している全データとなっている。「近い将来には、Microsoft365など、現状ではクラウドでバックアップを取っているデータに関しても、Wasabiによる2次バックアップを検討したいと考えています。その際には引き続き、QTnetさんにご尽力をお願いする場面もあるでしょう」
そう話す吉田氏に、あらためて今回の施策のパートナーにQTnetを指名した理由を伺った。「2つあります。ひとつは、主力事業の情報基盤領域をベースに、幅広いIT課題を全方位的に解決できる総合力。もうひとつは、やはり担当者さんへの信頼感ですね。Webミーティングも含めると、多い時には毎週のように有益な情報を届けてくれます。技術面のサポートも手厚いですし、何かあればすぐ駆けつけてくれるフットワークのよさも、頼もしい限りです」

システム部には金庫内外のDX、とりわけお客さま向けの新たなデジタルチャネルの開発を担うDX推進室が置かれ、吉田氏が室長を兼ねている。期せずして創立100周年の節目に導入されたWasabiによって、データセキュリティ体制がさらに充実し、高付加価値業務に割ける時間も増えた。次の100年を見据えたDX推進室の新たな挑戦は、すでに始まっている。

導入サービス

Wasabi Hot Cloud Storage